観心本尊抄(如来滅後五五百歳始観心本尊抄)の書き下しを改竄した日蓮正宗、それを今も用いる創価学会

此時地涌千界出現本門釈尊為脇士 一閻浮提第一本尊可立此国

この箇所は一般に日蓮系宗教では以下のように書き下している。

此の時、地涌千界出現して本門の釈尊脇士と為りて、一閻浮提第一の本尊、此の国に立つべし。(昭和定本日蓮遺文 720頁)

つまり「地涌千界(諸天善神)が現れて本門の教主である釈尊脇士となって、一閻浮提(世界)第一の本尊をこの国に立てるべきである」という意味だ。

ところが、日蓮正宗の御書、そしてそれを踏襲する創価学会の御書はどちらもこのように書き下しをしている。

此の時地涌千界出現して本門の釈尊脇士と為す一閻浮提第一の本尊、此の国に立つべし。(大石寺版 平成新編日蓮大聖人御書 661頁)

こうして、釈尊を単に諸天善神の一つにまで格下げし、上行菩薩であるはずの日蓮を仏にすり替えているのだ。

観心本尊抄 P661 本門の釈尊を脇士と為す

観心本尊抄 P661 本門の釈尊を脇士と為す

一般に日蓮系教団では南無妙法蓮華経を宝塔に見立て、その両脇を釈迦仏と多宝仏が守っている形だ。これを両尊とか二尊と呼ぶ。

そのため日蓮宗の仏像状の本尊(三宝尊)を一塔両尊四士(一つの塔、両尊、四菩薩の意味)、一塔両尊四士四天王(一つの塔、両尊、四菩薩、四天王の意味)などと呼んでいる。

従って、釈尊は脇士ではないのだ。

このことは、法華経見宝塔品第十一を読めばすぐに分かることだ。

爾時仏前 有七宝塔 高五百由旬 縦広二百五十由旬 従地涌出 住在空中 種種宝物 而荘校之 五千欄楯 龕室千万 無数幢幡 以為厳飾 垂宝瓔珞 宝鈴万億 而懸其上 四面皆出 多摩羅跋栴檀之香 充・世界 其諸幡蓋 以金銀 瑠璃 硨磲 碼碯 真珠 玫瑰 七宝合成 高至四天王宮

(中略)

爾時宝塔中 出大音声 歎言善哉善哉 釈迦牟尼世尊 能以平等大慧 教菩薩法 仏所護念 妙法華経 為大衆説 如是如是 釈迦牟尼世尊 如所説者 皆是真実

(中略)

此宝塔中 有如来全身 乃往過去 東方無量千万億 阿僧祇世界 国名宝浄 彼中有仏 号曰多宝 其仏本行菩薩道時 作大誓願 若我成仏 滅度之後 於十方国土 有説法華経処 我之塔廟 為聴是経故 涌現其前 為作証明 讃言善哉

(中略)

爾時仏放 白毫一光 即見東方 五百万億 那由他 恒河沙等 国土諸仏 彼諸国土 皆以頗黎為地 宝樹宝衣 以為荘厳 無数千万億菩薩 充満其中 遍張宝幔 宝網羅上 彼国諸仏 以大妙音 而説諸法 及見無量千万億菩薩 遍満諸国 為衆説法 南西北方 四維上下 白毫相光 所照之処 亦復如是

爾の時に仏前に七宝の塔あり。高さ五百由旬、縦広二百五十由旬なり。地より涌出して、空中に住在す。種種の宝物をもって、之を荘校せり。五千の欄楯あって、龕室千万なり。無数の幢幡、以て厳飾と為し、宝の瓔珞を垂れ、宝鈴万億にして、其の上に懸かれり。四面に皆、多摩羅跋栴檀の香を出して、世界に充遍せり。其の諸の幡蓋は、金、銀、瑠璃、硨磲、碼碯、真珠、玫瑰の七宝を以て合成し、高く四天王宮に至る。

(中略)

爾の時に宝塔の中より大音声を出して、歎めて言わく

「善哉善哉、釈迦牟尼世尊、能く平等大慧・教菩薩法・仏所護念の妙法華経を以て大衆の為に説きたまう。是の如し、是の如し。釈迦牟尼世尊所説の如きは皆是れ真実なり。」

(中略)

此の宝塔の中に如来の全身います。乃往過去に、東方の無量千万億阿僧祇の世界に、国を宝浄と名く、彼の中に仏います、号を多宝という。其の仏本菩薩の道を行ぜし時、大誓願を作したまわく

「若し我成仏して滅度の後、十方の国土に於て法華経を説く処あらば、我が塔廟是の経を聴かんが為の故に、其の前に涌現して、為に証明と作って、讃めて善哉」

といわん。

(中略)

爾の時に仏白毫の一光を放ちたもうに、即ち東方五百万億那由他恒河沙等の国土の諸仏を見たてまつる。彼の諸の国土は皆頗黎を以て地とし、宝樹・宝衣を以て荘厳として、無数千万億の菩薩其の中に充満せり。遍く宝幔を張って宝網上に羅けたり。彼の国の諸仏、大妙音を以て諸法を説きたもう。及び無量千万億の菩薩の、諸国に遍満して衆の為に法を説くを見る。南・西・北方・四維・上下、白毫相の光の所照の処も亦復是の如し

簡単に言えば、煌びやかな宝石で装飾が施された巨大な塔が地面から湧き出てきて、その中の多宝仏が釈尊の説法を賛嘆し、正当性を証明している様子だ。

その状態が御本尊として描かれていて、中央に宝塔にあたる南無妙法蓮華経の題目、その両脇に釈迦仏と多宝仏を固めているのだ。

つまり、釈尊は脇士(ここで言えば地湧千世の菩薩=諸天善神)とは立場が全く違う

しかし信者を騙すには十分だろう。

下の本尊を見れば②の釈迦仏、多宝仏が単なる⑤の諸天善神の一つに過ぎないという嘘の説明に疑問を抱く人はそうは多くないだろう。

本尊 名称(日蓮正宗 日如書写)

本尊 名称(日蓮正宗 日如書写)