日蓮正宗、創価学会による御書改竄 観心本尊抄

訳あって今も法華講として籍を残している私だが、菩提寺で貰ったカレンダーを10月のまま捲り忘れていたところ、そこに抜粋されていた遺文に目が行った。

 

日蓮正宗 2023年カレンダー 10月

 

多宝塔中の大牟尼世尊」とあるので、「妙法蓮華経の宝塔の中にいる釈尊」という意味になる。

これでは、日蓮正宗創価学会が言うような「釈尊は諸天善神の一人」と解釈するには無理がある。

 

日蓮門下において五大部(五大抄)と言われる重要御書の一つ、観心本尊抄(如来滅後五五百歳始観心本尊抄)に面白い改竄箇所がある。

 

大石寺版「日蓮大聖人御書」 661ページ

 

ここでは大石寺版「日蓮大聖人御書」を引用したが、創価学会版「御書全集」でも同様だ。

赤線部分を読むと「本門の釈尊を脇士と為す」とあるので、「数多くある諸天善神の一つに釈尊がいる」という意味になってしまう

 

以下の通り、日蓮真蹟では観心本尊抄は漢文で書かれており、どう書き下すかによって意味が真逆になってしまうのだ。

 

日蓮真蹟 「本門釈尊為脇士」部分

 

参考までに幾つかの文献の当該箇所を引用する。

 

神保弁静編「日蓮聖人御真蹟」第二十輯 34、36ページ

日蓮聖人御真蹟」では「本門釈尊ノ脇士ト為(なり)テ」とある。

 

 

鉄腸居士著「日蓮上人 後編」 70〜71ページ

日蓮上人 後編」では「本門の釈尊の脇士と為(な)り」とある。

 

 

神保弁静編「日蓮聖人御真蹟対照録」巻拾参 50ページ

日蓮聖人御真蹟対照録」では「本門釈尊ノ脇士ト為(なり)テ」とある。

 

 

観心本尊抄 室町時代写本

観心本尊抄 室町時代写本」では「本門ノ釈尊ノ脇士ト為(な)シテ」とある(返り点、送り仮名は後世のものかも知れないが、墨の色合いや筆跡を見る限りは同じ筆者によるのではないか?)。

 

当たり前だが、大石寺系列である日蓮正宗創価学会を除いて(冨士大石寺顕正会も含まれるが)、「釈尊を脇士」と書いているものはなく、どれも「釈尊の脇士」とある。

こういう姑息な改竄をするところに日蓮正宗の悪質さがある。

 

創価学会については、既に本門戒壇の大御本尊を尊崇対象としていないので、日蓮本仏論をやめても差し支えないはずだが、今更変えたところでそれといったメリットも無いから今までの解釈を踏襲しているのだろう。

 

聞いたところでは、創価学会では何年か前に新しい編年体の「御書全集」を発行したという。

当該箇所についてどうなっているか、機会があったら見てみたいところだ。